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うちの地元での葬儀

 何年か前、祖父が亡くなった時は、全部町内会が仕切っていたように思う。しかし、祭壇などの設備を素人が維持管理するのは困難であるため、この分野に農協が参入し、通夜や葬儀の会場となった集会所での雑務を町内会が行うという体制に変わっていた。農協は今のところ自前の葬儀会場を持っていないが、今後はどうなるのであろう?

 父の遺体を病院から自宅まで搬送するのは葬儀屋さんに頼んだ。病院の看護師が見せてくれたタウンページのコピーから、広告を見て選んだのだ。自宅で棺桶に入れたりとかは農協が行った。そして棺桶に入れる前、手が組み合わさるように指をしっかり組ませようと悪戦苦闘した際、丁寧に手伝ってくださったのが町内会長だった。死亡届を出す時に役場まで車で送ってくれたりもした。町内会長、大忙しだなあ……。とても感謝している。

 でも、そんな町内会長役をかつては亡き父が仰せつかったこともあるんだってさ。

 悪性リンパ腫という診断がなされ、抗癌剤治療を始めて一週間経った時点で、心臓や肝臓をすでに患っていた父は永眠してしまった。きっと治って帰って来ると、淡い期待を持っていたし、最悪でも死ぬのはもう何ヶ月か先だと思っていた。正月に会ったばかりの親戚は戸惑いを隠せなかったようだ。私なんかは職場の人がインフルエンザに感染したため、見舞いを自粛したわけであるが、その二日後に死んでしまった。

 亡くなる9日前に見舞いに訪れた時、私は面白半分で乃木坂46中元日芽香のタオルを持って行った。中元の顔がプリントされた吸水性のあるタオルだ。その前に持って行った最近の高校の教科書「地理A」「世界史A」が不評だったので、リベンジの意味を込めて持って行ったのだ。

 父がそのタオルをどう思ったかは知らない。しかし、父が亡くなり一人暮らしとなった母は、そのタオルを自分の寝室のタンスの引き出しの所に引っ掛けて飾っていた。中元日芽香がサンタのコスプレをして見せる笑顔は、きっと母を慰めてくれるに違いない。母にとっては孫娘である私の姪も、遠くから葬儀に駆けつけてくれたのだが、彼女は故人が死去した前日に二十歳の誕生日を迎えていた。中元日芽香も今年の4月で二十歳を迎える。

 私はいつか中元日芽香と結婚して、実家に連れて帰り、母を驚かせたいものである。いや、もしそうなったなら、驚くのは母だけじゃないよな。本当に、もう……。仕方がないので、わしがサンタの格好でもして母を慰めるわ。みんな、ごめんね。