初日カバー

 小学校四年生の時に島に引っ越してから、たまに「やっぱり田舎はダメだなあ」と思う体験を何度もした。その最初が「初日カバー事件」である。

 初日カバーとは記念切手の発売日に、その日の消印を押したものだ。「発売日に買った!」という記念になる。私はその初日カバーを作るために封筒を持って郵便局に行ったのだが、窓口のおばさんは未使用の記念切手に消印を押す、という発想が理解できず「この子、封筒まで持ってきてる」と他の職員に言い、私の依頼を拒否し、切手の縁の白いところに事務用のスタンプで日付印を押した。

 気持ちはありがたいが、私が欲しかったのはこれじゃない。

 ヤフオクで初日カバーが売られているのをよく見る。買おうかな、という気持ちが湧かないわけではないが、跡取りのいない私のこと。どうせ死んだら捨てられるのだろうと思うと手が出せない。

 そうそう、田舎はダメだなあ、といえば郵便局がらみでもうひとつある。うちの田舎では国際返信切手券が売られていなかった。