ニュースは公正でなくてもよい

 TVや新聞のニュースが公正で対立する意見に対して両方の意見を紹介したら見ている方が混乱するだけだ。

 1989年、兵庫県で重度の障害を持った30代の我が子の将来を悲観し、無理心中を図った60代の男性が警察に逮捕された。子どもは殺したものの、自分が死にきれなかったのである。そのため、同じく障害者を子に持つ親たちが、刑を軽くすべく嘆願書を提出した。私はこれを当時取っていた毎日新聞の朝刊で読んだ。

 その翌日、当の障害者団体が別な嘆願書を提出した。殺されたのが障害者だということで、罪が軽くなるのは許せない。厳正な処分を求める。そんな内容だった。

 裁判官って大変だなあ、と思った。

 このように公正は報道を私を苦しめる。だから、TVや新聞はいつも反政府的な意見を吐き続けて欲しい。安保法案だって、いつもの連中がいつもの言い回しで反対しているだけなら、特に問題もなかろうと思えたはずだ。憲法学者とかが違憲だと言うから、「ちょっと待って!」と動揺してしまうではないか。