水栽培のヒヤシンスに別れを告げる

 半年前、退院し、無職だった私はヒヤシンスの水栽培を始めた。「花が咲く頃、自分はどうなっているのだろう?」と思いながら。死んでいるかも知れないし、金欠病をこじらせているかも知れない。

 4つあった球根はどれも花を咲かせた。そして、自分の重みで傾いて枯れた。私はヒヤシンスを片づけながら、彼らに感謝した。

 私は生きていて、しかもフルタイムの仕事をしている。最近では花を咲かせる野草の名前も知るようになった。次のヒヤシンスの球根を買う頃、もっと幸せでいたい。いや、庭つきの家でも買って、ヒヤシンスを種から育てたい。