布団を捨てる

 広島市で布団を捨てるには、コンビニで買ったシールを貼って出さなければならない。しかも、電話で予約しなければならない。重度のコミュ障である私は、知らない人に電話などできないため、十年ほど前に買った羽毛布団を捨てることもせず放置していた。

 羽毛布団は直射日光で干してはならない。なので私はいつしか布団を干さなくなっていた。そして羽毛布団は干さないでいると、獣のような匂いがするのである。

 押入れの中に入れておいた羽毛布団であったが、私にもついに我慢の限界が来た。私は震える手で市の担当者に電話しようと思ったら、何とインターネットでも予約は可能なのであった。何だ、もっと早く言ってくれ、とはまさにこのことである。

 しかし、私の羽毛布団はさっきまで浮浪者が使っていたかのような色合いと匂いである。これをこのまま出すのは、さすがに気が引ける。

 そこで私はこれを機に今使っている布団のカバーも交換することにし、古いカバーを捨てる羽毛布団にかけることにした。古いカバーといっても、岡山のイトーヨーカドーで買った5千円のやつである。今使っている布団と値段は同じなのだ。それを捨ててしまうのだ。惜しいったら、ありゃしない。ちなみに新しいカバーは499円×2だ。私の経済力では、これが普通だ。

 布団を捨てるのは、これが三度目だ。一度目は親が買ってくれたやつで、大学の時から十年以上使った。次は川崎で、七年ぐらい使ったか。

 布団って引っ越しを契機に、相当汚くなったのを捨てるから、特に感慨も湧かないものなのだろうか。私もこの羽毛布団を捨てることができて、せいせいしている。でもね、ちょっと布団カバーに未練があったりする。だって、新しい敷布団のカバー、薄すぎて布団の水玉模様が透けて見えるのだ。